「松竹梅」は、中国の「歳寒三友(さいかんさんゆう)」に由来しています。この画題は、松と竹が冬にも緑を保ち、梅は寒冷期に花を咲かせることから名付けられました。「歳寒三友」には「梅」「水仙」「竹」も含まれ、これらは寒冷な季節にも活力を保つ植物として呼ばれています。ただし、「歳寒三友」には日本の「松竹梅」のようなめでたさや吉祥の象徴といった意味は含まれていません。
日本で「松竹梅」が吉祥の象徴とされるようになったのは、平安時代から松が常緑で不老長寿の象徴とされ、室町時代からは竹、江戸時代からは冬に花を咲かせる梅が加わりました。このような背景から、「松竹梅」がめでたいものの象徴とされるようになりました。植物学的には、「松竹梅」が裸子植物、単子葉類、双子葉類の代表として植物三界を代表しています。
また、「松竹梅」はランクや品物の表現として本来なかったものの、注文の際に「梅」とすることが美しい表現とされ、それが寿司屋などで等級として用いられるようになりました。特に順番に厳密な定めはなく、松・竹・梅には上下関係がないものの、特上が松、上が竹、並が梅とされ、吉祥の象徴が時代順になったとも言われています。「松竹梅」は「しょうちくばい」と呼ばれ、この順番に沿った等級表現が定着しました。