けじめの語源は諸説あるが、囲碁用語の「けち(結・闕)」からとする説、「けちえん(掲焉)」の説、「わかちめ(分目)」の説のいずれかと思われる。
囲碁用語の「けち(結・闕)」は、対局の終盤で決まらない目を詰め寄せることで、いわゆる「駄目」のことである。
「けちえん(掲焉)」は、「くっきりと際立つさま」「明らかなさま」を意味する語で、「掲」を「けち」と読むのは呉音である。
「けぢめ(けじめ)」の語が見られるのは平安時代で、時代的には問題なく囲碁用語からとも考えられるが、「区別」という意味になったという点で説得力に欠ける。
「掲焉」は意味の面では通じるが、「けちえん」から「けぢめ」への変化は考え難い。
平安末期の辞書『類聚名義抄』の「分」の訓に「ケヂメ」とあり、「わかちめ(分目)」の意味から生じた語と考えるのが妥当であろう。
ただし、『源氏物語』では「けぢめ見えず」「けぢめ見ず」など、見ることに関わる動詞を伴なった表現がされており、元々、けじめは視覚的な区別を表す語であったと考えられることから、「掲焉」の説も間違いとは言い切れない。
「けぢめ(けじめ)をとる」、「けぢめ(けじめ)を食う」といった表現が見られるようにるのは江戸時代以降で、現代では主に「けじめをつける」の形で用いられる。