天狗の語源・由来

昔、中国では流星や彗星の姿が、狗(犬)や狐に似ていると考えられており、「天の狗(いぬ)」で「天狗」と呼ばれた。
これは、隕石を怪物と見て呼んだ名で、流星や彗星の呼称という位置づけではなかったようである。
日本では、山中を異界ととらえていた里人が山に出現する怪異を天狗に写し、様々な姿形の天狗が想像された。
この頃から、空中を自由に飛んだり、鬼のような姿は想像されていたが、鼻が高くなるのはもう少し後である。
平安時代、天狗の棲む世界は「天狗道」と呼ばれ、傲慢な僧が死んだ後、転生する魔界と考えられるようになった。

鼻が高いことから、傲慢な人を「天狗になる」と呼ぶようになったと考えられているが、傲慢さの象徴として鼻が高くイメージされるようになったものなので前後が逆である。
鎌倉時代、山伏の修行法や風体が異様に見られたため、山伏も天狗と呼ばれるようになった。
現在想像されているイメージは、中国で狗の怪物に見立てられた隕石が、日本では山に棲む妖怪として空中を飛ぶ鬼の姿となり、天狗道で鼻が高くなって、天狗に見立てられた山伏の姿が組み合わさったものである。

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