巾着の「巾」は、「頭巾(ずきん)」や「布巾(ふきん)」にも用いられる語で、「布切れ」の意味。
肌身に着けて携帯する布切れ(袋)なので、「巾着(巾着袋)」と言うようになった。
巾着は、火打ち道具を入れた火打ち袋が変化したものといわれ、古くは金銭のほか、お守りや薬、印章なども入れられていた。
江戸時代には専門の巾着師によって、革やラシャ、高級織物などの華美なものが作られたが、明治に入り、西洋の服が着られるようになったことや、がま口や財布が普及したことから廃れていった。
娼婦が稼いだ金をこれに貯めていたから、また巾着に入る程度の金しか稼げない娼婦の意味から、江戸時代の俗語で「私娼」を指す言葉としても「巾着」は使われた。