かしわは、本来、羽色が茶褐色の鶏をいい、転じて、鶏肉も指すようになった言葉である。
かしわの漢字に「黄鶏」が当てられているのも、鶏の羽色に由来する。
茶褐色の鶏を「かしわ」と呼んだのは、柏餅に使う柏の葉の色に似ていることからである。
かしわの語源には、柏手を打つ姿と鶏の羽ばたく姿が似ているからとする説。
「膳・膳夫(かしわで)」という、宮中で食膳の調理をつかさどる人を指す名に関係するといった説がある。
しかし、これらの説は「かしわ」の語源ではなく、神を拝むときに手のひらを打つ「柏手」の語源と混同されたものである。
「鶏肉」の意味で「かしわ」が用いられるようになったのは、19世紀中頃のこと。
その当時は茶褐色の和鶏肉をさしていたが、次第に「かしわ」は鶏肉の総称となっていった。
現在「かしわ」は主に西日本で用いられる呼称だが、茶褐色の鶏やその肉を指していた頃までは東日本でも用いられていた。