いちごの語源・由来

いちごは、『日本書紀』には「伊致寐姑(イチビコ)」。
『新撰字鏡』には「一比古(イチビコ)」。
『和名抄』で「伊知古(イチゴ)」とある。
これらのことから、「イチビコ」が転じて「イチゴ」になったと考えられる。

イチビコの語源は諸説あり、「い」が接頭語、「ち」は実の赤さから「血」、「びこ」は人名に用いられる「ひこ(彦)」を濁音化したもので植物の擬人化とする説。
「いちび」は「一位樫(いちいがし)」のことで、「こ」は実を意味し、いちごの実が一位樫の実と似ていることから名付けられたとする説。
「いち」は程度の甚だしいことを意味する「いち(甚)」、「び」は深紅色を表す「緋」、「こ」は接尾語か実を表す「子」の意味で、「甚緋子(とても赤い実)」とする説がある。

現在、一般的に「いちご」と呼ばれるものは、江戸時代の終わり頃にオランダから輸入された「オランダイチゴ」であるが、それ以前は「野いちご」を指していた。
オランダイチゴも赤い色が特徴的だが、野いちごは更に濃い赤色なので、いちびこ(いちご)の語源は「い血彦」や「甚緋子」など、実の赤さに由来する説が妥当である。

民間語源には、1~5月に収穫されるから「いちご」といった説もある。
しかし、いちごの古名「イチビコ」の「ビ」が何を意味したか、「5(ゴ)」が「コ」と呼ばれた理由など、基本的なことに一切触れておらず説得力に欠ける。

漢字の「苺(莓)」は、「母」の漢字が「乳房」を表していることから「乳首のような実がなる草」と解釈するものもある。
しかし、「苺」の「母」は、「どんどん子株を産み出す」ことを表したものである。

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