珍しいの本来の語形は「めづらし」で、賞賛することを表す動詞「めづ(愛づ)」の形容詞形である。
「めづ」に賞賛の意味があるように、「めづらし」は「もっと見ていたい」「素晴らしい」といった感情を表す語であった。
めったにないことを示す場合も、「めったになく貴重である」「稀なものを見て心惹かれる」というように、好感を示すことに重点が置かれた用法であった。
そこから、「あまり例がない」など単に稀であることを意味するようになり、良い意味でも悪い意味でも用いられるようになった。
「めずらしい」に当てられた漢字「珍」は、めったにないご馳走を意味する「珍肴(ちんこう)」や、珍しい宝物の意味の「珍宝(ちんぽう・ちんぼう)」など、貴重なことを表す言葉に多く使われ、「めずらしい」の原義と非常に近い文字である。
この「珍」の漢字は、右側が「人+彡(たくさん)」の会意文字で、それに「玉」を加え、きめ細かくつまった上質の玉の意味。そこから、めったにない貴重な物の意味となった。