とんやは、「とひや(といや)」が転じた語。
平安末期、荘園領主に年貢を運送するため、港で米の管理などをしていた「問職(といしき)」という職務があった。
鎌倉以降には、問職が物資の保管・輸送・取引の仲介、宿屋の経営などを行うようになり、「問丸(といまる)」と呼ばれるようになった。
問丸の中には、現代の問屋と同様に、卸売を業とする者もいたといわれる。
近世に入り、「問丸」は「とひや(問屋)」と呼ばれ、江戸で「とんや」に転じた。
問屋の由来となる「問職」「問丸」の「問」は、そのまま「問い」の意味と思われるが、「集い(つどい)」の意味とする説もあり、定かではない。