いいなずけ(いいなづけ)は、動詞「言い名付く(いひなづく)」の連用形が名詞化した語で、「許婚」「許嫁」は共に当て字。
「言い名付く」は中世以降に用いられはじめた語で、上流武家の間で男性支配型の婚姻として嫁入り婚が成立し、婚約の慣例が生まれた頃とされる。
その後、許婚は親同士が結婚相手として約束する意味で用いられ、そのような婚約がほぼ無くなった現代では、婚約した当人同士が相手をいう言葉となった。
その他、許婚の語源には「結納付け(ゆひのうづけ)」が転訛して「いひなづけ」となり、「いいなづけ(いいなずけ)」になったとする説もある。
しかし、「名付け」に婚約の意味があったか定かではないが、「申し名付く」といった語系も見られ、近世には許婚と同じ意味で「名付け」が用いられた例もあることから、「結納付け」が転じたとする説は有力とされていない。
「名付け(なづけ)」に由来する言葉だが、許婚(許嫁)の現代仮名遣いは「いいなずけ」である。
また、「許婚」の漢字を「きょこん」と読むのは間違いとされることもあるが、「許婚」には「きょこん」の読みもあり、間違いではない。