冷奴の「奴(やっこ)」は、近世、大名行列の先頭で槍や挟み箱をもつ役の「槍持奴(やりもちやっこ)」のこと。
槍持奴が着ていた半纏には、「釘抜紋」と呼ばれる四角い大きな紋がついており、その紋の形と似ていることから、四角く切った豆腐を「奴豆腐」と言うようになり、冷やしたものを「冷奴」、湯豆腐を「湯奴」や「煮奴」と呼ぶようになった。
「冷たい」ことを表す「ひゃっこい」が転じて「冷やっこい」、「冷やっこ」になったとする説もあるが、冷やした豆腐を「冷奴」と呼ぶようになるのは、四角に切った豆腐を「奴豆腐」と言うよりも後のことなので、この変化は考えられない。