トリカブトは、花の形が舞楽の襲装束に用いる「鳥兜(とりかぶと)」に似ていることから、呼ばれるようになった。
舞楽の「鳥兜」とは、錦・金襴などで鳳凰の頭にかたどった被り物である。
トリカブトの根は猛毒を含むことで知られるが、漢方では「烏頭(うず)」や「付子(ぶし)」と言い、古くから神経痛やリウマチの薬に用いられていた。
「烏頭」「付子」ともに中国から入った語で、日本ではそれを音読みした。
「トリカブト」の名は江戸時代になってから例が見られ、それ以前はこの漢方から「烏頭(ウヅ)」や「付子(ブシ・ブス)」と呼ばれていた。
「烏頭」の語源は、最初にできる根塊がカラスの頭部に似ていることに由来する。
「付子」は、その脇にできる若い根塊「付いた子」の意味からである。