「濡れ衣」は、元々は雨水や海水などに濡れた衣服を指し、文字通りの意味で使用されていました。その後、「無実の罪」を表す言葉として平安時代頃から使われるようになりました。
濡れ衣の語源にはいくつかの説がありますが、有力とされるのは次の順で、四番目の説は駄洒落とされています。
1.昔話説:
継母が先妻の娘の美しさを妬み、漁師の濡れた衣を寝ている娘の枕元に置いたことから、父が誤解して娘を殺してしまったという説。
2.海人の言葉の掛け合わせ説:
海人(あま)は濡れ衣を着ており、水中に潜ることを「かずく(潜く)」、他人に損害や責任を負わせることを「かずける(被ける)」と呼んでいたとされ、それが転じて「濡れ衣」となったという説。
3.神事の裁判説:
濡れた衣服が早く乾けば無罪、乾かなければ有罪とする神の裁判がかつて存在したことから派生した説。
4.「無実」の文字遊び説:
「無実」は「実が無い」と書かれ、これが「みのない」から「蓑無い(みのない)」になり、雨具として使われる蓑が無いと衣が濡れるため、「無実」を「濡れ衣」と呼ぶようになったとする説。