「ピント」と「フォーカス」の違い

ピントもフォーカスも、日本語で「焦点」を意味する。
レンズの焦点を合わせることを、昔は大半が「ピントを合わせる」と言ったが、現在は「フォーカスを合わせる」と言うことも多くなってきている。
これは、「フォーカス」よりも「ピント」の方が早く日本に入った言葉であるためである。。

しかし、現在でも人々の注意や興味の集まるところや、物事の中心点の「焦点」を表す時には、「ピントがずれている」「ピンぼけ」などと言って、「フォーカス」よりも「ピント」を使うことが多い。
これは、入ってきた順番のほか、「焦点」という言葉の成り立ちも関係している。

ピントはオランダ語の「brundpunkt」に由来する。
「brundpunkt」の「brund」は燃えるや焦げるの意味で、「punkt」は点を意味する。
「焦げる点」というのは、太陽の光を凸レンズで集めた点が焦げることからである。
「brundpunkt」を日本語に訳した言葉が「焦点」で、古くは「焼点」とも書いた。
つまり、焦点は「ピント(の語源)」に由来する言葉で、「焦点=ピント」となるため、焦点は全て「ピント」に置き換えることができたのである。

フォーカスは英語の「focus」に由来し、「focus」にも興味や関心の中心という意味はある。
しかし、フォーカスは「焦点=ピント」という図式が出来上がった後に入ってきた言葉である。
また、興味や関心の中心の意味で「焦点」を使うのは、比喩的な印象がある。
そのため、フォーカスは「焦点」の意味の中でも、特に「レンズの焦点」を表す言葉として使われたのである。

ちなみに、英語の「focus」は、ラテン語で「炉・火」を意味する「focus」に由来し、イタリア語で「火」を意味する「fuoco」も、ラテン語の「focus」が語源である。

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