ゴリ押しの「ゴリ」は、「ゴリゴリ」という擬態語・擬音語に由来する。
「ゴリゴリ」は、かたい物を噛んだり、かじったりする時に出る音や、そのさま。表面がなめらかでない様子。強い力で無理に壊すさまなどを表す際に使う語である。
そこから、強引に事を行うさまを「ごりごりと向かっていく」や「ごりごりと押す」と言い、「ごりごり押す」が名詞化されて「ゴリ押し」となった。
ゴリ押しの語源には、川魚の「ゴリ(鮴)」に由来する説が多く見られる。
この説は、川底に置いたむしろにゴリを追い込み、むしろごと持ち上げて捕らえる漁獲方法が強引で、「鮴押し(ごりおし)」と呼ぶことからというものである。
しかし、「鮴押し」の呼称を知っている人が沢山いなければ、「ゴリ押し」の語の成立もないが、どちらかと言えばゴリはマイナーな魚で、その漁法はさらにマイナーである。
しかも、この漁法が盛んに行われていた時代と、「ゴリ押し」の語が使われ始めた時代には大きな開きがあり、漁法自体も特別強引なものではない。
この説は「ごりおし」に「鮴押し」という言葉があることを知り、強引に「ゴリ押し」の語源とした俗説である。
その他、ゴリ押しの語源には、五里(約19.6km)も押し続けることに由来する説もある。
おそらく、「五里霧中」の「五里」から類推したものであろう。