「せっちん」は「せついん」の促音化。
雪隠の語源は諸説あり、特定は難しいが、便所を意味する「西浄」に由来する説が有力である。
禅宗では、法要儀礼の際に法堂・仏殿の西側に並ぶ者を「西序(せいじょ)」といい、西序が使う便所を「西浄(せいじょう・せいちん)」という。
これと対になるのが、東序の使用する「東浄(とうじょう・とうちん)」である。
「西浄」の説は、西浄の宋音「せいちん」が転じて「せついん」となり、「雪隠」の字が当てられたというものである。
その他、雪隠の語源には、雪竇禅師が霊隠寺の浄頭(便所の掃除をする役)をつとめたことに由来する説や、雪峰義存禅師が浄頭をつとめたことに由来する説があり、「隠」は隠れ潜むことを意味するという。
また、かつて中国では、ツバキを便所のそばに植えて覆い隠したことから、ツバキをいう「青椿(セイチン)」が便所を意味するようになり、「せついん」「せっちん」と変化した説もある。