一肌脱ぐの「肌」は、皮膚のことではなく、物を覆い包んでいるもののことで着物を表す。
和服の袖から腕を抜いて、上半身をあらわにすることを「肌脱ぎ」という。
力仕事をする時は「肌脱ぎ」の姿になることから、他人のためにために本気で力を貸すことを「一肌脱ぐ」と言うようになった。
上半身全部を脱いで事にあたるところから、全力で事にあたることを意味する「諸肌を脱ぐ」という言葉もある。
そのため、一肌脱ぐの「一」を「片袖」の意味と解釈するものもあるが、これは間違い。
「諸肌を脱ぐ」の対となる語は、「一肌脱ぐ」ではなく「片肌脱ぐ」。
上半身裸になることも、片袖の場合は「片肌脱ぎ」、両袖の場合は「諸肌脱ぎ」という。
一肌脱ぐの「一」は、「ここは一つ」「ここは一丁」など、これから行動を起こそうとする時に用いる語の「一」である。