「泣きべそ」や「べそをかく」の「べそ」は、口をへの字に曲げることをいう「へしぐち・べしぐち(圧し口)」の「へし・べし」が転じたとする説が有力である。
泣きそうな顔つきは、能面の「べしみ(圧面)」のように口を結んだ状態になることから、「べしみ」の「べし」を語源とする説もある。
「へしぐち」の「へし」と「べしみ」の「べし」は同源で、への字に曲げることを表しているため、これらの説を別物として扱う必要はないであろう。
「泣きべそをかく」の「かく」を漢字では「掻く」と書く。
「掻く」は、爪などで表面をこするという動作から、「事をなす」という意味でも使用し、「汗をかく」「いびきをかく」「恥をかく」など、好ましくないものを表面に出す表現で多く使われる。