ついたちは、「ふつか(二日)」「みっか(三日)」などとは異なり、「か(日)」を用いない特殊な語である。
平安や奈良時代には、「一日」は「ひとひ」と呼ばれ、「ひとひ、ふつか、みか…」と数えられた。
しかし、「一日」は「ある日」「二四時間」などの意味も含み、混同しやすいことから、「ついたち」に呼び方を変えたようである。
ついたちの語源は、「つきたち(月立ち)」の音変化と考えられる。
「月立ち」の「立ち」は「出現する」「現れる」といった意味で、旧暦では月の満ち欠けによって月日を数え、新月が現れる日が、その月の最初の日にあたることに由来する。
ついたちの語源は「月立ち」の意味でほぼ間違いないが、動詞や形容詞では「キ」や「ギ」がイ音便化された例があるのに対し、名詞「つき(月)」の「き」がイ音便化された例はなく、「つきたち」という語の実例もみとめられていないため疑問が残る。
干支の十二支に関する逸話で、13番目にたどり着いたイタチを神様がかわいそうに思い、毎月の最初の日を「ついたち」と呼ぶようにしたといったものがあるが、逸話であって語源とは関係ない。
そもそも、十二支に動物が割り振られた由来も、このような逸話からではなく、十二支に合わせて作られたものが逸話である。