平安初期から鎌倉初期には、ほくろは「ハハクソ(母糞)」と呼ばれていた。
「くそ」は「目くそ」「鼻くそ」など、「垢」や「カス」の意味で用いられる「糞」のこと。
ほくろが「ハハクソ」と呼ばれていたのは、母の胎内でついたカスと考えられていたことによる。
鎌倉初期から中期頃には、「ハハクソ」を「ハハクロ(母黒)」とも呼ぶようになった。
更に「ハハクロ」から「ハワクロ」「ハウクロ」と変化していき、長音化して「ホークロ」、それが短音化して「ホクロ」となった。
『天正十八年節用集』や『日葡辞書』に「ホクロ」とあることから、室町時代末期には「ホクロ」が一般的な呼称となっていたと考えられている。
漢字で「黒子」と書くのは、ほくろを意味する「こくし(黒子)」の字を当てたものである。