「あたらしい(新しい)」の本来の語形は「あらたし」で、「あらたむ(改む)」「あらためる(改める)」などと同源である。
平安初期頃より、「あらたし」が音変化して「あたらし」となり、「あたらしい」になった。
「あらたしい」から「あたらしい」になったと言われることもあるが、形容詞が「しい」の形になる以前の変化なので厳密には間違いである。
上代の「あたらし」は、別語として「惜しい」「もったいない」の意味で用いられている。
「惜しい」意味の「あたらし」と、「新しい」を意味する「あらたし」が混同され、「た」と「ら」が入れ替わったものか定かではないが、「あらたし」が音変化した以降、「惜しい」意味の「あたらし」は使用が減り、現在では、わずか「あたら若い命を散らす」の表現にのみ用いられる。
なお、本来の語形の「あらたし」は、形容動詞や副詞では「あらたなる」「あらた」の形で、「た」と「ら」の入れ替えがないまま現在でも用いられている。