「木偶の坊」は、木彫りの操り人形である「木偶(でく)」を指します。この表現が役立たずを指す由来は、「木偶」が単体でも無能な人を指す言葉であるため、木の人形を無能な人になぞらえたことに起因していると考えられます。人形が手足のない木の棒のようであったこともこの表現の意味に寄与しています。
「木偶の坊」の「坊(ぼう)」は、軽い嘲りを含む親しみを表す接尾語として使用されています。従って、「木偶の棒」と表現するのは正確ではありません。この表現が「でくるぼう」とも呼ばれていたことから、「出狂坊(でくるひぼう)」が語源とされる説が存在します。一方で、「手くぐつ」が訛った「でくる(坊)」から派生したとする説もありますが、正確な語源は不明です。
その他、「泥偶(でいぐう)」が訛り「でく」になったとする説もありますが、「泥人形」と「木彫りの操り人形」の関連性の薄さや、「でく」から「でくる」に変化し、再び「でく」に戻る可能性が低いため、有力視されていません。