凄いの語源には、「じかに」の意味を表す副詞「すぐ(直)」の形容詞化説。
度を越していることを表す「すぐ(過ぐ)」の形容詞化説や、古く、強く恐ろしいことを表した「しこ(醜)」に通じる説がある。
凄いの意味から「直」が影響しているとは考えられず、「醜」は意味が限られるため、度を越していることを表す「過ぐ」の説が妥当であろう。
古く、凄いは寒く冷たく骨身にしみる感じを表す言葉としても用いられた。
「ぞっとするほど恐ろしい」「ぞっとするほど物寂しい」など、凄いに「身の毛がよだつ」の意味が含まれるのも、その延長にあると思われる。
似た意味を持つ「酷い」は、副詞「ひどく」の形でプラス評価として用いられるようになってきているが、凄いがプラス評価とマイナス評価の両面で使われるようになったのは最近のことではなく、「恐ろしいほど優れている」といったプラス評価の使用例は古くから見られる。