おこがましいは本来「をこがまし」で、「馬鹿げている」「馬鹿馬鹿しい」という意味が転じたもの。
現代のおこがましいように、身の程知らずの意味で「をこがまし」が使われ始めたのは、近世以降である。
おこがましいの「おこ(をこ)」は、「馬鹿げていること」「愚かなさま」を意味する名詞として、かなり古くから使われているため語源は不明。
「差し出」が「差し出がましい」、「未練」が「未練がましい」となるように、「をこ(おこ)」にシク活用形容詞を作る接尾語「がまし」が付いて、「をこがまし」となり、「おこがましい」となった。
おこがましいの「おこ(をこ)」は、漢字で「痴」のほか、「烏滸」や「尾籠」とも表記される。
「烏滸」は、後漢時代の中国で黄河や楊子江に集まるやかましい人達をさしていた。
これは、やかましいことをカラスにたとえ、水際を意味する「滸」から「烏滸(おこ)」としたもので、意味が似ていたために用いられた漢字である。
「尾籠」は当て字で、鎌倉時代以降に多く使われ、それ以前は「嗚呼」が「をこ」として多く使われていた。
のちに、「尾籠」は音読され、「びろう」という和製漢語に変化した。