「案外」も「意外」も「存外」も「思いの外(ほか)」も、予想していたことと実情が違っていた様子を表す言葉だが、ニュアンスや文法に違いがある。
「案外寒かった」といった場合、「思っていたより寒かった」という軽い意味合いで使われ、想像や常識を少し超えた程度であったことを表す。
「存外寒かった」も、ほぼ同じニュアンスになるが、「案外」よりも「存外」の方が使われる頻度が少ないため、人によってやや硬い印象を与える。
「思いの外寒かった」の場合は、「案外」や「存外」よりも、予想を超えていた度合が強い感じになり、使う場面によっては大げさ過ぎて使えないこともある。
「案外」「存外」「思いの外」の三語と少し異なるのが「意外」である。
「案外」「存外」「思いの外」は、そのままの形で副詞として使われることが多いが、「意外」は、「意外に(と)寒い」というように、「意外に」「意外と」の形にしないと不自然になる。
「意外な所で会った」や「それは意外だ」など、「意外」は「―な」「―だ」の形でも使えるが、「案外」「存外」を当てはめると不自然になり、「思いの外」は文章語的になるため会話では使いにくい。
また、「意外」は予想と違っていただけでなく、予想もしていなかった事態であることを表したり、驚きの感情も込めた表現になる。