「夫婦」と「夫妻」は共に婚姻関係にある男女を指しますが、使い分けには独特の文化的ニュアンスが存在します。
夫婦は自分たちや他人にも使われる一般的な言葉で、「私たち夫婦」という自己紹介や、他人を指す場合にも使えます。一方、夫妻は他人に対してのみ使う言葉で、より改まった表現です。例えば、上司や先生など敬意を表す必要がある相手に対しては「◯◯(ご)夫妻」という形で使います。一般に「私たち夫妻」と自己紹介することはありません。
また、特定の成句では「夫婦」のみが使われます。「夫婦喧嘩」、「夫婦別姓」、「仮面夫婦」、「似た者夫婦」などの表現では、敬意の有無に関わらず「夫婦」が用いられ、「夫妻」に置き換えることはしません。
親族関係や対等な関係を指す場合(例:「弟夫婦」、「友達夫婦」)や、敬意を払う必要がない場合(例:「犯人夫婦」)では、「夫婦」が使用されます。ただし、対等な相手でも上品な言葉遣いを好む場合や、一定の距離感を保つ関係の場合には「夫妻」が適している場合もあります。
一般論として婚姻関係にある男女について語る際も、「夫婦」という表現が一般的です。