湯船の語源・由来

江戸時代、江戸では船内に浴槽を設けて巡回営業した移動式銭湯があり、この風呂屋船を「湯船」といった。
そこから、浴槽のことを「湯船」と呼ぶようになったという説が流布されているが、これは間違いである。
確かに、船に浴槽を設けた移動式銭湯は江戸時代に存在したが、「ゆぶね」は平安時代の『和名類聚抄』にも出てくる言葉であるため、湯船の語源が江戸時代の風呂屋船にあるはずがない。

酒を蓄えておく大きな木製容器を「酒槽(さかぶね)」。貴人の遺体を棺に納めることは「御舟入り」と言うように、元々「ふね」は「槽」とも書いて大きな容器を表す言葉である。
つまり、湯船の語源は「湯を入れる船(大きな容器)」で、江戸時代の移動式銭湯は全く関係ない。
また、「船」の漢字を使うようになった由来として、移動式銭湯が持ち出されることもあるが、移動式銭湯が登場する以前に「湯舟」と表記された例があり、漢字の由来とも関係ない。

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