漢字の「虹」が虫偏なのは、古代中国で、竜になる大蛇が大空を貫く時に作られるものが「にじ」と考えられていたことに由来する。
虫偏は昆虫を表した字ではなく、元々はヘビの形を描いたもので、その虫に「貫く」を意味する「工」の字で「虹」の漢字が作られた。
「にじ」の漢字には雄と雌があり、雄は「虹」で明るい主虹、雌が「霓(蜺)」で外側の薄い副虹を表す。
この二字を合わせた「虹霓・虹蜺(こうげい)」も「にじ」を意味する。
和語の「にじ」の語源は不明だが、古くは虹とヘビが同じ語で表されていたか、近い音で表現されていたと考えられている。
水中に棲む長い生き物は、「うなぎ」や「あなご」など「nag」の音で表されているものが多く、「ナギ」はヘビ類の総称であったと考えられている。
『万葉集』には、虹を「ノジ」と表した例がある。
琉球方言では、ヘビを「ナギ」や「ナガ」、虹を「ノギ」や「ナーガ」と呼んでおり、両者の音が近い。
未詳な部分も多く、これだけで断定できるものではないが、日本でも古くから、ヘビが息を吹いたものが虹になるという考えがあったため、ヘビに関する語が「にじ」の語源となっていることは十分に考えられる。
その他、「にじ」の「に」は赤を意味する「丹(ニ)」、「じ」が「白(シ)」か「筋(スヂ)の反」とする説もある。