「虫の知らせ」における「虫」は、古くは人間の体内に棲んで意識や感情に影響を与える存在と考えられていました。この概念から派生して、「虫がいい」「腹の虫が治まらない」といった表現も生まれました。これらの言葉は、潜在意識や感情の動きを象徴しています。
「虫」が持つ否定的な意味合いは、道教の概念である「三尸・三虫」に由来しています。これによれば、生まれた瞬間から人体に棲み、人が眠っている隙に体内から抜け出し、その人の罪や悪事を天帝に知らせる存在とされています。この背景から、「虫」が関わる表現はしばしば悪い事柄や不吉な出来事に結びつけられるようになりました。