頭陀袋の「頭陀(ずだ)」は、「捨てる」「落とす」を意味する梵語「Dhuta」の音訳で、衣食住に関する欲望を払い、修行・行脚する意味の言葉である。
頭陀行を行う僧が、経文や衣服などを入れ、首にかけて持ち歩く袋を「頭陀袋」という。
時代が下るにつれ、頭陀袋には仏具や行でもらった物が入れられるようになった。
そこから、雑多な品物を入れる袋のことを「頭陀袋」と呼ぶようになった。
修行の旅に出るという意味から、仏式で死者を葬る時に首にかける袋も「頭陀袋」という。
一般に、雑多な物を入れる袋の意味では、誤って「ずた袋」と呼ぶことも多い。
これを「頭陀袋」の誤読とする辞書もあるが、「陀」の字を「た」と誤読することは非常に少なく、漢字を見れば普通は「ずだ袋」と読むはずである。
この漢字表記を知らない人の間で口伝えされていくうちに、「ずた袋」と誤解されて広まったと考えるのが妥当であろう。