朝顔は、奈良時代末期もしくは平安時代初期、中国から薬用植物として渡来した。
当初、漢名の「牽牛子(ケニゴシ・ケンゴシ)」で呼ばれ、のちに「アサガオ」となった。
アサガオの語源は、早朝に咲くことから「朝の顔」という意味ではなく、早朝に開花し、昼にはしぼんでしまう特徴を、朝の美人の顔にたとえたもので、「朝の容花(かおばな)」の意味といわれる。
ただし、牽牛子が「朝顔」と呼ばれる以前から、「キキョウ」や「ムクゲ」が「アサガオ」と呼ばれ、『万葉集』で「朝顔」と詠まれたのも「キキョウ」である。
「キキョウ」や「ムクゲ」は昼を過ぎても咲いているので、「朝の容花」の説は誤りのようにも思えるが、「ムクゲ」は朝開いて夕方にしぼむところから別名を「槿花」と言う。
「朝の容花」が表す僅かな時間は、現在の朝顔(牽牛子)よりも長いものだったようである。
そして、午前中しか咲いていない牽牛子の花の方が、より相応しいと考えられたことで、牽牛子を「朝顔」と呼ぶようになったと思われる。