坩堝は「いるつぼ(鋳る壺)」の約、もしくは「ろつぼ(炉壺)」が転じた語と考えられる。
「興奮のるつぼと化す」など、熱気に溢れた状態を表す「るつぼ」は、坩堝の中が灼熱の状態にあることからの比喩的な表現である。
「人種のるつぼ」など、種々のものが混ざっている状態を表す「るつぼ」は、坩堝が金属を溶融混合することにたとえたもの。
イギリスの作家イズレイル・ザングウィルが「坩堝」を意味する「melting pot(メルティングポット)」を戯曲名にし、多民族が混在したアメリカ社会を「人種の坩堝」と形容したことから広く用いられるようになった。
ただし、るつぼでは「溶け合う」といった同化の意味が含まれてしまうため、近年、種々のものが混ざっていても個々に味があるという意味から、「salad bowl(サラダボウル)」と表現されることが多くなっている。