兎に角の語源と夏目漱石の影響

「兎に角」は、「とかく」の当て字「兎角」を模した表現であり、仏教の語源である「兎角亀毛」に由来します。ただし、「兎角亀毛」の意味は、現実に存在しない兎に角や亀に毛があることから、あり得ないもののたとえとして用いられたものです。意味の面では「とにかく」や「とかく」と「兎角亀毛」には無関係であり、単に漢字を借りた表現とされます。この当て字は、夏目漱石が頻繁に使用したことから、広く一般的になりました。

「とにかく」は、平安時代から江戸時代にかけて「とにかくに」の形で広く使用されていました。この表現では、「と」が「そのように」を、「かく」が「このように」を表し、いずれも副詞として用いられます。初めは「あれこれと」や「何やかや」といった意味で使われ、次第に「いずれにせよ」などの意味に転じていきました。

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