ひもじいは、空腹を意味する名詞「ひ文字(ひもじ)」が形容詞化した語である。
ひ文字は、形容詞「ひだるし」の文字詞(もじことば)で、19世紀初頭の『続膝栗毛』に「ひもじき時のまづいものなし」の例がある。
文字詞とは女房詞の一種で、ある語を直接言うことを避けるため、語頭の一音か二音だけを残し、「文字」という言葉を添えたもの。
文字詞には「はずかしい」をいう「は文字」、「髪」の「か文字」などがあり、現代でも使われている「しゃもじ」も文字詞である。
ひもじいの漢字には、「饑文字い」「餓い(餓じい)」「 饑い(饑じい)」「 飢い(飢じい)」などがある。
しかし、いずれも当て字で、一般に使われる表記でもないため、ひもじいはひらがな表記するのが無難である。