ビジネスマナーとして、目上の人や同僚に対しては「お疲れ様」を使い、「ご苦労様」は目下の相手にしか使ってはいけないことが、正しいこととして広まっている。
お疲れ様もご苦労様も、相手の労をねぎらう言葉で大差ないのだが、次のようなことから、このような使い分けが正しいといわれるようになった。
ご苦労様は、他人の苦労に対し敬意をもっていう語で、本来、目上の人に対して使う言葉であったが、「貴様」や「御前」などと同じで、時代とともに同輩か目下の相手に対して使う言葉となった。
また、ご苦労様は相手の無駄な骨折りを嘲って言うようにもなったため、目上の人に対して使うことは、大変失礼なことと思われるようになった。
ご苦労様が相手の労をねぎらう意味で目上の人に使えなくなったため、お疲れ様はそれに代わる言葉として使われるようになったもので、使用は比較的新しい。
「お疲れ様です」というのは、嘲っていう訳でもなく、職場で先に帰る人に対して使う挨拶語としても定着しているため、目上の相手には「ご苦労様です」ではなく、「お疲れ様です」を使うことが正しいといわれるのである。
ただし、現代では相手の労をねぎらうこと自体、同輩以下の相手にする行為となっており、お疲れ様でもご苦労様でも、目下の者に言われると、馬鹿にされた気分になる、違和感を感じるという人もいるため、相手によっては、どちらも使わないほうが良いこともある。