イチョウは、葉がカモの水掻きに似ていることから、中国では「鴨脚」と言い、「イチャオ」「ヤチャオ」「ヤーチャオ」「ヤーチャウ」などと発音された。
これが日本に入り、「イーチャウ」を経て「イチョウ」になった。
「銀杏」を唐音で「インチャウ」といい、「イキャウ」となって「イチョウ」になったとする説もあるが、説明の取り間違いによるものである。
イチョウの歴史的仮名遣いは「いてふ」とされてきたが、これは葉の散るさまが蝶に似ていることから、「寝たる蝶(いたるちょう)」の意味で「イチョウ」になったとする説や、「一葉(いちえふ)」を語源とする説が定説となっていたことによるものである。
これらの説が否定された今日では、「いちゃう」がイチョウの歴史的仮名遣いとなっている。
漢字の「銀杏」と「公孫樹」は、共に中国語から。
「銀杏」は、実の形がアンズに似て殻が銀白であることに由来する。
「公孫樹」は、植樹した後、孫の代になって実が食べられるという意味による。