堪能の語源・由来

漢字の「堪能」は本来「かんのう」と読む漢語で、和語の「たんのう」に当てた当て字である。
「料理を堪能する」など十分に満足することの意味は、和語の「たんのう」からだが、「英語に堪能だ」など優れていることの意味は、十分の意味が派生したのではなく、「堪能(かんのう)」の意味からで、この言葉は意味によって由来が異なる。

和語の「たんのう」は、満足する意味の動詞「足る」に完了の助動詞「ぬ」がついた「足りぬ」の音便形「足んぬ」が転じた語。
「たんぬ(する)」の形で用いられ、江戸時代に「たんの(する)」「たんの(がる)」となり、長音化して「たんのう(する)」となった。
十分に満ち足りる意味から、満足することのほか、気の済むことや納得することの意味でも用いられた。

江戸時代には、「たんのう」に「胆納」「湛納」「堪納」などの漢字も当てられたが、最終的に「堪能」で定着した。
「堪能(かんのう)」は、元々「よくものに堪える能力」を意味した仏教語で、転じて、技芸や学問に習熟しているさまを意味する。
「堪」の漢字に「タン」の音はないが、「湛」に「タン」の音があることから混同し、誤用で「堪能」の字が当てられたことで、「たんのう」に優れていることの意味が含まれるようになった。
この誤りを正すためか、明治時代の辞書の中には、「たんのう」と読める「湛能」の漢字表記をしているものもある。

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