真っ向は「まむかふ(真向かう)」の音便化と考えるのが普通だが、「真っ向」は当て字で、「抹額(まっかく)」の音変化とする説もある。
抹額とは、古代、冠や烏帽子の動揺を防ぐため、へりに紅の絹ではちまきをして後ろで結んだもので、「まっかく」から「まっかう」「まっこう」と音変化している。
真っ向は「額の真ん中」や「兜の鉢の前面部」の意味で使われており、そこから「真正面」を意味するようになった。
「真っ向」と「抹額」は同じ音で、ともに頭の鉢に関連する語のため結び付けられた説だが、鉢の全体を覆うはちまき状のものが、「真ん中」や「前面」を表すようになったという点で疑問が残る。