インクジェットプリンターで使用される「染料インク」と「顔料インク」は、それぞれ異なる特性を持ち、使用する用途によって選択することが重要です。
染料インクは、着色成分が溶剤に溶解しているタイプのインクで、この特性により、用紙に深く浸透し、鮮やかで透明感のある発色を実現します。色の再現度が高く、光沢のある滑らかな印刷表面を作り出すため、特に写真印刷に適しています。しかし、普通紙への印刷ではインクの滲みが発生しやすく、水や紫外線に弱いため色褪せしやすいというデメリットがあります。これは、長期保存が必要な文書には不向きな特性です。
一方、顔料インクは、着色成分が大きな粒子として存在し、溶剤に完全に溶けていないタイプのインクです。このため、用紙の表面にインクが定着し、普通紙への印刷でも滲みにくく、速乾性があり、色の安定も早いです。耐水性や耐光性に優れており、長期保存が必要な文書の印刷に適しています。ただし、写真印刷には不向きであり、プリンターヘッドの目詰まりが起こりやすい点がデメリットです。